仕事って、人を変えるんだなと思った。

主人公の松前緒花は、突然母親に「祖母の旅館で働いてきなさい」と告げられ、石川県の老舗旅館「喜翆荘」に放り込まれる。旅館での仕事経験はゼロ、最初は失敗の連続で周りに迷惑をかけてばかり。それでも逃げずに向き合い続けることで、少しずつ仕事を覚え、自分の居場所を作っていく。その成長の過程が、丁寧に丁寧に描かれている。

見どころは緒花一人の成長だけではない。旅館で働く従業員たちとの関係が深まっていく様子も、このアニメの温かさの核だ。最初はよそよそしかった仲間たちが、仕事を通じて少しずつ心を開いていく。旅館という場所への思いが伝わってくる描写が随所にあって、気づいたらこの旅館のことが好きになっている。

恋愛要素も豊富だ。自分の気持ちに素直になれない登場人物たちが、少しずつ本音に近づいていく過程がもどかしくて、でも温かい。恋愛と仕事と成長が絡み合いながら進んでいくストーリーは、最後まで飽きずに見られる。

そしてこのアニメには、現実にまで広がった特別な魅力がある。作中に登場する「ぼんぼり祭り」が、実際に石川県で開催されるようになったのだ。アニメ発祥のお祭りとして今も続いており、幻想的な雰囲気が訪れる人を包み込む。作品を見た後に「自分も行ってみたい」と思わせてくれる聖地巡礼スポットとしても、この作品は特別だ。