「青春ブタ野郎」シリーズを一言で表すなら、「悩みに正面から向き合う物語」だ。
このシリーズには「思春期症候群」という現象が登場する。思春期特有の不安や葛藤が、現実には起こりえない不思議な現象として表れるというものだ。透明になってしまう、存在を忘れられてしまう、時間が繰り返される——症状はヒロインによってそれぞれ異なる。
そしてこの設定が、単なるファンタジーで終わらないのがこの作品の肝だ。
思春期症候群は、そのヒロインが抱えている悩みや痛みと、必ずリンクしている。表面的な症状だけを解決しても意味がない。根っこにある感情や問題に向き合って、それを乗り越えない限り、症候群は消えない。この構造が、話を追うごとにじわじわと効いてくる。
主人公・梓川咲太は、そういうヒロインたちにまっすぐ向き合っていく。軽口を叩きながらも、相手の痛みを絶対に軽く見ない。その姿勢が、シリーズ全体を通じて一貫している。
ヒロインはそれぞれまったく異なる悩みを抱えていて、共感できる部分も人によって違う。だから誰かのエピソードで泣いた人が、次のエピソードでは別の角度から揺さぶられる、ということが起きる。シリーズを通して見ると、どこかで必ず自分に響く話が出てくる。
各エピソードはそれ単体でも完結しているが、シリーズ全体でつながっている伏線や感情の積み重ねがある。だから順番通りに見ることを強くすすめたい。後半になればなるほど、序盤の何気ないシーンが違って見えてくる。
特に映画作品は、シリーズを見てきた人間にとって感情の持っていき場がなくなるような展開が待っている。詳しくは書けないが、ここまで積み上げてきたものが一気に押し寄せてくる感覚があって、見終わった後しばらく何も言えなかった。
泣けるアニメを探している人にも、ちゃんと考えさせてくれる作品が見たい人にも、自信を持っておすすめできるシリーズだ。まずバニーガール先輩の話から始めてみてほしい。気づいたら全部見終わっているはずだ。
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