「氷の城壁」を読んでいると、登場人物たちのあまりの不器用さに胸が痛くなる。でもそれが、たまらなくリアルだ。

10代という時期は、限られた経験の中で、限られた視野で、自分なりの世界を作ってしまう時期だと思う。それは決して綺麗なものじゃない。誤解したり、意地を張ったり、本当の気持ちを言えなかったり。「氷の城壁」はそういう未熟さを誤魔化さずに描いている。だからこそ、読んでいて苦しくなる瞬間もあるし、それ以上に共感してしまう。

主人公の小雪は、他人との間に壁を作って生きてきた。誰かと深く関わることを避け、一人でいることを選んできた女の子だ。そこにぐいぐいと距離を詰めてくるミナト、学校の人気者である美姫、のんびり優しいヨータ——4人それぞれが不器用な感情を抱えながら、お互いに関わり合っていく。

その過程が一筋縄にはいかない。前に進んだと思ったら、また同じところで悩んだり、ぐるぐると同じ感情を繰り返したりする。でもそのぐるぐるする様子こそが、見守りたくなる要素のひとつだと思う。きれいに一直線で成長していく物語じゃないから、余計に応援したくなる。

読んでいると、「みんなの気持ちがどうか報われてほしい」と思いながらページをめくっている自分に気づく。先が気になって仕方がない。そういう力を持った漫画だ。

「氷の城壁」は阿賀沢紅茶先生による漫画作品で、LINEマンガにて2020年より連載、現在は完結している。電子版を含む累計発行部数は250万部を突破し、2026年4月からTVアニメも放送中。LINEマンガ・コミックシーモアなどで読むことができる。