「ばらかもん」は、静かに、でも確実に心に染み込んでくるアニメだった。

主人公の半田清舟は書道家として都会でキャリアを積んできた人間だ。けれど、自分の書を批判した審査員に手を上げてしまい、父親の意向で長崎の五島列島へ送られることになる。最初はただの「罰」として始まった島暮らしが、半田の人生を少しずつ、でも確かに変えていく。

この作品が好きなのは、「大人になっても変われる」ということを正面から描いているからだ。半田は書道という狭い世界の中で生きてきた。評価されることが全てで、自分の価値観が正しいと信じて疑わなかった。でも島の人たちと関わる中で、そのフレームがひとつひとつ外れていく。島民たちは書道のことなんてよく知らない。でもだからこそ、半田の「普通」が通用しない場所で、彼は初めて本当の意味で人と向き合うことになる。

なるとみわ、たまとのやり取りが特に好きだった。子供たちは空気を読まない。思ったことをそのまま言う。その無邪気さが、半田の固まった価値観をほぐしていく。子供の一言にハッとさせられる場面が何度もあって、見ながら自分も「そうだよな」と気づかされることがあった。

多様な価値観に触れることで、大人でも変われる。それをこんなに温かく、笑いを交えながら描いてくれたアニメはなかなかない。見終わったあと、なんとなく外に出たくなるような、そんな気持ちになる作品だった。