宇佐美さんがかわいい。それだけでこのアニメを見続ける理由になる。

「この美術部には問題がある!」の舞台は、月杜中学校の美術部だ。絵の才能があるのに「最強の二次元嫁を描くこと」にしか情熱を注がない内巻すばるくん、常識人ポジションで振り回されながらも内巻くんのことが好きで仕方ない宇佐美みずきさん、部室でひたすら寝ている部長、トラブルメーカーのコレットさんという、タイトル通りに「問題だらけ」のメンバーが集まっている。この4人の掛け合いが毎話ほのぼのと笑えて、気づいたら全話見終えていた。

この作品の核は宇佐美さんの片思いだ。内巻くんへの好意を伝えようとするたびに何かが邪魔をして、うまく伝わらない。内巻くんはアニメのキャラクターにしか興味がないので、宇佐美さんが近くにいても気づかない。宇佐美さんが勇気を出してアクションを起こすたびに空振りして、見ているこちらはむず痒くて仕方なくなる。でもその「伝わらない感じ」がもどかしいだけじゃなく、なんとも面白いのだ。
宇佐美さんの表情の変化がとにかく豊かだ。内巻くんと話せた時の嬉しそうな顔、空振りした時の悔しそうな顔、嫉妬した時の複雑な顔——一話の中で感情がめまぐるしく動く。小澤亜李の演技がこの豊かな感情をそのまま声にしていて、聞いているだけで宇佐美さんへの好感度が上がっていく。「恋する中学生の心の動き」をここまで丁寧に描いているアニメはなかなかない。

内巻くんというキャラクターも面白い。二次元にしか興味がないと言いながら、宇佐美さんが困っている時には助けてしまう。二次元嫁のためなら熱くなるくせに、三次元の女の子に対しては驚くほど鈍い。この「悪い人ではないのに話が進まない」という絶妙なポジションが、コメディとして機能しながら宇佐美さんの片思いを長続きさせる構造になっている。小林裕介の演じる内巻くんの声も、クールに見えてどこか抜けている雰囲気をそのまま体現していた。
部長というキャラクターも本作のいいスパイスだ。部長らしいことを何一つしないのに、肝心な時だけ年上らしい一言を言う。いつも寝ているのに場の空気を読んでいる。このキャラクターの存在が部室全体の空気を和らげていて、ほのぼのとした雰囲気を底から支えている。コレットさんのトラブルメーカーっぷりも毎話笑えて、この二人が動くたびに場面のテンポが上がる。

OP曲「My pace」(水樹奈々)も本作の魅力だ。軽やかでポップなメロディが美術部の日常の空気感にぴったりで、毎話始まりに自然と気持ちが上がる。ED曲「ここから、ここから」(上坂すみれ)も宇佐美さんの心情に寄り添うような柔らかさがあり、話の後に余韻をちゃんと残してくれる。
1話完結に近い構成で毎話短いエピソードが2本入っているため、テンポがよくサクサク見られる。長くなりすぎず、かといって物足りなくもない絶妙な密度が毎話続いていく。「次だけ見よう」と思っていたら全部見終わっていた、という体験を保証できる作品だ。
何話経っても片思いが進展しないのに宇佐美さんが楽しそうなのでいい——これが公式コピーとして成立しているぐらい、宇佐美さんの存在がこの作品の全てだ。見終わった後、なんだかほっこりした気持ちが続く。

「この美術部には問題がある!」はいみぎむるによる漫画で、「電撃マオウ」(KADOKAWA)にて2012年より連載中、既刊15巻。シリーズ累計発行部数は100万部突破。TVアニメは全12話、2016年7月から9月にかけて放送、feel.制作。Amazonプライムビデオ・dアニメストアなどで視聴できる。

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