「プラスティック・メモリーズ」は、正直に言うと展開が読める作品だ。どこに向かっていくのか、序盤からなんとなく分かってしまう。それでも最後には号泣していた。そういうアニメだ。
舞台は、アンドロイド「ギフティア」が人間と共存する世界。主人公のツカサは新入社員として、ギフティアの寿命が近づいた際に回収する部署に配属される。そこでコンビを組むことになったのが、ギフティアのアイラだ。
アイラは最初、どこかぶっきらぼうで近寄りがたい雰囲気を持っていた。でもツカサが真正面から向き合い続けることで、少しずつ心を開いていく。その変化がじんわりと温かくて、気づいたら二人の関係から目が離せなくなっていた。
そしてこの作品の切なさの核心は、アイラ自身にも寿命があるということだ。回収する側にいたはずの二人が、やがてその現実と向き合っていくことになる。分かっていた展開なのに、いざその瞬間が来ると胸が締め付けられた。
本作はオリジナルアニメとして制作された作品で、原作・脚本を務めるのは「シュタインズ・ゲート」「ロボティクス・ノーツ」などのシナリオを手がけた林直孝だ。もともと連作短編小説として温めていたアイデアを元にしており、長年練られた物語だからこその完成度の高さが随所に感じられる。「無機質、すなわちデジタルな想い出」というタイトルに込められた意味を知ってから見返すと、また違った余韻が残る。
アニメーション制作は動画工房が手がけており、淡い色彩と丁寧な背景美術がアイラとツカサの過ごす日常をより一層儚く美しいものに見せている。日常パートのコメディ要素と、終盤に向けて積み重なっていく切なさのバランスも絶妙で、軽やかな掛け合いを楽しんでいたはずが、いつのまにか涙腺が緩んでいるという構成の巧みさがある。
主題歌や挿入歌を含めた音楽面の完成度も高く、横山克による劇伴は、日常パートの軽やかさと終盤の切なさをそれぞれ的確に演出している。声優・寺島拓篤と種﨑敦美によるツカサとアイラのやり取りも、二人の関係性の変化を丁寧に伝えている。ゲームや小説、コミカライズなど多方面にメディア展開されている点も本作の人気を物語っている。中でもミチルを主人公にしたコミカライズは、アニメ本編をミチルの視点から描き直した内容になっており、本編を見終えた後にあらためて読むと新たな発見がある。ギフティアという存在を通して描かれる「限りある時間をどう過ごすか」というテーマは、アンドロイドという題材を借りているだけで、実は誰にとっても他人事ではない普遍的な問いかけになっている。だからこそ、結末を知っていてもなお、見るたびに新しい涙が出てくるのだと思う。
結末が見えていても感動できるのは、それまでの積み重ねがちゃんとあるからだと思う。二人が過ごした時間の重さが、ラストをあれほど切なくする。「分かってた」と思いながら泣ける——そういう作品は案外少ない。
「プラスティック・メモリーズ」は動画工房制作によるオリジナルアニメで、原作・脚本を林直孝、監督を藤原佳幸が務める。2015年4月から6月にかけて全13話で放送された。dアニメストアなどで視聴できる。
🐾 気になった方はぜひチェック!
💬 コメント
気になります!
コメントを書く