まず映像を見た瞬間に、画面に引き込まれた。

「血界戦線」は、作画が本当に美しい。かつてニューヨークと呼ばれた街が一夜にして異界と現世の交わる都市「ヘルサレムズ・ロット」に変貌し、そこで暗躍する秘密結社ライブラの戦いを描いたSFバトルアクションだ。世界観のスケールが大きいだけに、映像に求められるクオリティも高い。それをボンズが全力で応えている。

バトルシーンは特に圧巻だ。血を使った技、超高速の動き、桁外れの破壊力——それぞれの能力者が繰り出す技が、一つひとつ「見せ場」として丁寧に描かれている。手に汗握るとはまさにこのことで、次の一手が読めない展開と、それを支える作画のクオリティが合わさって、バトルシーンが始まると画面から目が離せなくなる。止め絵でさえ絵として強く、それが動くのだから当然だ。
主人公のレオナルド・ウォッチは、異世界からの来訪者を見抜く「神々の義眼」という特殊な目を持っている。ライブラのメンバーの中では戦闘力は高くないが、その目が戦局を変える鍵になることが多い。強大なメンバーたちに囲まれながら、自分にできることを全力でやり続けるレオの姿が、このアニメの感情的な軸だ。普通の人間が非常識なレベルの強者たちと肩を並べていく過程が、じわじわと見ごたえになっていく。

ライブラのメンバーたちも全員が個性的で、誰一人として薄くない。圧倒的な存在感を放つリーダーのクラウス、血を操る荒々しいザップ、飄々としながら何を考えているかわからないチェイン——それぞれが強烈な個性と背景を持ち、毎話違う組み合わせで動くことで飽きさせない構成になっている。

世界観の見せ方も巧みだ。ヘルサレムズ・ロットという街は、普通の人間と異界の存在が混在して暮らしている。同じ電車に乗り、同じレストランで食事をし、交差点でぶつかり合う——その日常の中に突然バトルが始まる構造が、作品全体の独特なテンポを生んでいる。シリアスな戦いが終わったかと思えば、レオが家賃の心配をしていたりする。この緩急が、長く見ていても疲れない理由だと思う。
そしてこのアニメを語る上で絶対に外せないのが、EDテーマだ。UNISON SQUARE GARDENが手がけた「シュガーソングとビターステップ」は、アニメの監督・松本理恵からのオファーを受けて書き下ろされた楽曲で、明るくてポップなのにどこか苦みのある独特の世界観が、血界戦線の「混沌の中の日常」というテーマと見事に呼応している。EDが流れ始めた瞬間の心地よさは格別で、毎話エンドカードが出るたびに「もう一回聴きたい」という気持ちになる。リピート再生が止まらなくなるのは、自分だけではないはずだ。OPのBUMP OF CHICKENも含め、主題歌が豪華すぎるのも本作の強みのひとつだ。

ED映像も完成度が高い。キャラクターたちが日常の中で楽しそうに踊る様子が描かれており、バトルの緊張感から一気にほっこりとした空気に切り替わる。あの映像を見るたびに「このキャラクターたちが好きだな」という気持ちが積み重なっていく。音楽と映像の組み合わせがここまでハマっているアニメは、なかなかない。
1話完結に近い構成でテンポよく進むため、どこから見始めても楽しめるのも本作の魅力だ。世界観が複雑そうに見えて、毎話の入り口は意外とシンプルなので、ハードルを感じずに飛び込んでほしい。

「血界戦線」は内藤泰弘による漫画で、集英社のジャンプSQ系列誌にて連載中。無印全10巻・Back 2 Back全10巻・Beat 3 Peat連載中でシリーズ累計600万部突破。TVアニメ1期(全12話・2015年放送)、2期「血界戦線&BEYOND」(全12話・2017年放送)、ともにボンズ制作。dアニメストアなどで視聴できる。