笑いすぎて腹が痛くなるアニメというのは、そう多くない。「ぐらんぶる」は間違いなくその一本だ。
主人公の北原伊織は、海沿いの大学への進学を機に一人暮らしを始める。叔父が経営するダイビングショップに身を寄せ、爽やかなキャンパスライフを思い描いていたはずだった。でも待っていたのは、ダイビングサークルの先輩たちによる飲み会地獄。最初の数話から、もう全裸で騒ぐ男たちの姿しか出てこない。
このアニメの面白さは、とにかく「勢い」だ。説明とか伏線とかそういうものより先に、まずノリと勢いでぶつかってくる。飲み会の場面はひたすらカオスで、テンションがどんどん振り切れていく。見ているこっちまで一緒に酔っ払っているような感覚になる。
伊織はもともと真面目に大学生活を送るつもりだったのに、気づけば誰よりもバカをやる側に染まっていく。この「染まっていく」過程が最高に笑える。最初は引いていたはずなのに、いつのまにか先輩たちと同じテンションで騒いでいる。人はこんなに簡単に染まるのかと笑いながら、どこか羨ましくなる自分もいた。
先輩たちのキャラクターが全員濃すぎるのも魅力だ。それぞれ立場も性格も違うのに、なぜか全員揃うと同じテンションでバカをやる。誰か一人がちゃんとしようとしても、すぐに全員が脱線していく。そのチームワークというか、息の合ったバカっぷりが見ていて気持ちいい。
そして見ているうちに、何度も思った。「大学生に戻りたい」と。
授業をサボって遊んで、意味もなく騒いで、朝まで飲んで、それでも「楽しい」だけで完結できる時間。あの自由さと無責任さは、社会人になった今ではもう手に入らない。だからこそ、伊織たちの馬鹿騒ぎを見ているだけで、当時の感覚が懐かしく蘇ってくる。
ちゃんとダイビングの描写もしっかり美しく描かれているのが、地味に侮れないポイントだ。飲み会パートのコメディだけでなく、海に潜るシーンの作画はしっかり丁寧で、「本当はダイビング漫画である」という側面をきちんと押さえている。ギャグの合間に挟まれる本格的な海の描写が、作品全体に意外な奥行きを与えている。
原作は「バカとテストと召喚獣」で知られる井上堅二と、繊細な作画で知られる吉岡公威のコンビによるもので、「good!アフタヌーン」(講談社)にて2014年から連載中、2024年9月時点で全世界累計発行部数は1000万部を突破している。バカを描かせたら天下一品の原作と、それを的確にビジュアル化する作画力が組み合わさって、唯一無二のテンションを生み出している。
アニメはSeason1(2018年)放送の後、6年という時を経て2025年にSeason2が放送、さらにSeason3の制作も決定しており、2026年には舞台を海外パラオに移した新シーズンが控えている。年月が経っても色あせない人気の高さが、この作品の中毒性を物語っている。
下ネタや飲酒ネタが多いので人を選ぶ部分もあるが、それを差し引いても余りある爆発的な笑いがある。何も考えずに腹を抱えて笑いたい時、ぐらんぶるは最強の選択肢だ。
「ぐらんぶる」は井上堅二(原作)・吉岡公威(漫画)による漫画で、「good!アフタヌーン」(講談社)にて2014年から連載中、既刊26巻。全世界累計発行部数1000万部突破。TVアニメはSeason1(2018年)・Season2(2025年)放送済み、Season3は2026年7月放送予定。dアニメストアなどで視聴できる。
📖 同じジャンルのおすすめ記事
この記事はいかがでしたか?
💬 コメント
まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみてください🐾
コメントを書く