ヤクザの息子とマフィアの娘が、組織の平和のために偽の恋人を演じる——この設定だけで、もうずるい。
一条楽は極道一家の跡取りだが、本人はごく普通の高校生活を望んでいる。そこに転校してきたのが、マフィアのボスを父に持つ桐崎千棘だ。最初の出会いから最悪で、顔を合わせるたびに口論になる二人が、親の命令で「恋人のふり」をしなければならなくなる。このもどかしい関係が、ニセコイ最大の魅力だ。
最初は反発しかなかった楽と千棘だが、似た境遇で育った二人はじわじわと打ち解けていく。ヤクザとマフィアという、普通の高校生には理解できない重さを互いに背負っているからこそ、言葉にしなくてもわかり合える瞬間がある。その変化が、見ていてたまらなくいい。
そして楽の周りには、千棘だけではない。幼馴染のような存在の小野寺小咲、千棘の護衛・誠士郎、警視総監の娘・橘万里花——それぞれが楽に好意を寄せており、掛け合いのたびにキュンとさせられる。特に楽が小咲を意識する場面のむずむず感は、ラブコメとして一級品だ。
さらにこの作品には、幼い頃に交わした約束という謎が絡んでくる。楽は10年前、ある女の子と「再会したら結婚する」という約束を交わし、鍵穴のついたペンダントを今も肌身離さず持っている。千棘も、小咲も、万里花も——それぞれが「鍵」を持っており、約束の相手が誰なのかという謎が物語全体を貫いている。
誰が約束の女の子なのか。偽の恋人は本物になるのか。気になって、止まらない。
この記事はいかがでしたか?
💬 コメント
まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみてください🐾
コメントを書く