りんごのような赤髪を持つ薬師の少女・白雪は、その髪の珍しさを気に入られて隣国の王子の愛妾にされそうになる。そこから逃げるために故郷を離れ、辿り着いた森で出会ったのが、クラリネス王国の第二王子・ゼンだった。この出会いから、二人の物語が静かに、でも確かに動き出していく。

このアニメで何より魅力的なのが、白雪とゼン、それぞれの芯の強さだ。白雪は王族に媚びることなく、自分の力で宮廷薬剤師の試験に挑み、実力で道を切り開いていく。誰かに守られるだけのヒロインではなく、自分の意志で立っている姿が本当にかっこいい。ゼンも同じだ。王子という立場にありながら、身分や立場に縛られず、白雪を一人の人間として対等に見ている。その姿勢に何度も尊敬の気持ちが湧いた。

この二人だからこそ、紡がれる恋模様がいい。身分は王子と平民で全く違う。普通ならそれだけで障害になりそうな関係なのに、二人の間にあるのは打算でも憧れでもなく、互いの生き方を認め合う信頼だ。白雪はゼンの優しさに甘えるのではなく、対等な相手として接する。ゼンも白雪を「守るべき存在」としてだけでなく、「隣に並んで歩く相手」として扱う。だからこそ、二人が少しずつ距離を縮めていく過程に説得力があって、見ていて心から応援したくなる。

身分差のあるラブストーリーは数多くあるが、この作品が特別なのは、恋愛だけで関係性が成り立っていないところだと思う。白雪は自分の信念のために薬師を目指し、ゼンは自分の信念のために国のあり方と向き合う。それぞれが自分の人生を生きていて、その上で惹かれ合っている。だからこの恋は、ただの「王子様と庶民の恋」では終わらない強さを持っている。

派手な展開があるわけではないのに、見ていて自然と引き込まれる。丁寧に描かれる人と人との信頼関係が、このアニメの一番の魅力だ。

1期・2期合わせて全24話。dアニメストア・U-NEXTなどで視聴できる。