三人ともかわいい。これに尽きる。
でもこれだけじゃ何も伝わらないので、ちゃんと言う。帝乃三姉妹のかわいさは、「普段がすごすぎるからこそのギャップ」にある。そのギャップが、三人それぞれ全然違う形で来るのがずるいのだ。
「帝乃三姉妹は案外、チョロい。」の主人公・綾世優は、才能あふれる人物が集まる名門・才華学園に転校することになる。そして帝乃家に引き取られ、「三帝」と呼ばれる天才三姉妹と同居生活が始まる。三姉妹は学園でも飛び抜けた存在で、近寄りがたいオーラを纏っている。でも優との日常の中で、その三人が恋に照れてしまう。才能は本物なのに、恋愛になった途端にチョロくなる——この落差が、毎話ニヤニヤが止まらない理由だ。
長女の一輝は歌劇団の男役スター。舞台に立てば圧倒的なカリスマ性があり、学園中の憧れの存在だ。なのに優に自分を意識してもらえないと拗ねたり、さりげない気遣いにドキッとしたりする。あの凛とした表情が崩れる瞬間の落差が、毎回心臓に悪いくらいかわいい。「スターが照れている」という構図そのものが反則だ。
次女の二琥は空手部の格闘技の達人。外見の強さとは裏腹に、かわいいものが大好きという秘密を持っている。普段は無口でクールなのに、ぬいぐるみや小動物を前にすると表情がほころぶ。そのギャップを優に見られた時の慌てっぷりがたまらない。強い女の子がかわいいものに弱い、という組み合わせはずるいとしか言いようがない。
三女の三和はIQ180超えの天才棋士。誰よりも頭がいいのに、優に甘えたくて甘えられなくてもじもじする姿が最強にかわいい。論理的に物事を考えられるはずなのに、感情が先に動いてしまって上手く言葉にできない。寂しがり屋という設定も相まって、三和が一人でいる場面に優が気づくシーンなんかは、見ていてこっちまで胸が痛くなる。
この三人が全員、同じ一人の男の子を好きになっていくという状況もこの作品の面白さだ。三者三様の恋のアプローチが、ぶつかることなく並走していく。ライバル関係にはなっているはずなのに、三姉妹同士の仲の良さが崩れない。この関係性のバランスが、作品全体の空気を温かく保っている。誰かが傷つく展開より、みんなが幸せそうな空気の中でドキドキする時間が好きな人に、この作品はとことん刺さると思う。
主人公の優のキャラクターも本作のバランスを保つ上で重要だ。特別な才能はないが、家事が得意で、誰に対しても誠実で、人の気持ちに気づける人間だ。天才三姉妹に圧倒されそうな立場でありながら、自分の言葉で向き合おうとする姿が、三姉妹が優を好きになっていく理由として説得力を持っている。「なぜこの凡人に天才三姉妹が惹かれるのか」がちゃんと描かれているから、この物語に納得感がある。
アニメ制作はP.A.WORKSが担当しており、三姉妹それぞれの表情の繊細な変化を丁寧に描き分けた作画が高く評価されている。EDテーマは三人それぞれのキャラソン形式になっており、各話のEDで誰の曲が流れるかを楽しみにしながら見るのも本作ならではの楽しみ方だ。
三人の中で誰が一番好きか、見た人なら絶対に悩む。悩むほど全員かわいいということだし、それがこの作品の魅力だと思う。
「帝乃三姉妹は案外、チョロい。」はひらかわあやによる漫画で、「週刊少年サンデー」(小学館)にて2022年から連載中、既刊19巻。累計発行部数は200万部を突破している。TVアニメは全12話、2025年7月から9月にかけてTOKYO MXほかで放送。dアニメストアなどで視聴できる。
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